真空管でパソコンの音質を手軽に向上
前回の記事で紹介したアンプを買うまでは、パソコンに元々あったサウンドカード(オンボード)にPCスピーカーを接続していた。
しかしCDから取り込んだ音楽をじっくり鑑賞するには、音質が今一つだった。
そこで今回は、手持ちの外付けサウンドカードとPCスピーカーの間に、
NFJ社が販売する真空管プリアンプ「TUBE-01J」を割り込ませて、
パソコンの音質を、手軽に向上させてみたい。
2018/10/22追記
この記事を、より分かりやすく、書き直しました。
こちらも読んでいただけたら幸いです。
外付サウンドカードの用意
真空管プリアンプなどを買うまでは、パソコンのオンボードにあるサウンドカードに、ELECOMのPCスピーカー(マルチメディアスピーカー)「MS-130BK」を接続して使ってきた。
これから行うのは、「パソコンとPCスピーカーの間に真空管プリアンプを挟む」ことだが、
オンボードだとパソコン内部のノイズをたくさん拾う予感がしたので、たまたま手元にあった「BEHRINGER UFO-202 U-PHONO」 1という外付けのサウンドカード(USBオーディオインターフェイス)を用意した。
いわゆるUSB-DACや外付けのサウンドカードなら、ライン出力またはヘッドホン出力があれば何でもOKだ。これでノイズに弱いアナログサウンド機能をパソコン本体から分離できる。
ただしヘッドホン端子のような3.5mmミニジャックの場合、赤白のピンジャックへ変換するケーブルが必要だ。
UFO-202の場合、ピンジャック(RCA端子)のラインアウト(図中では「ライン出力」と表示)があるので、普通の音声ケーブルを使って、プリアンプと接続できる。
なお、NFJ社からはハイレゾ音源対応DACとして「FX-AUDIO- DAC-X6J」などがリリースされている。筆者は数日後に、DAC-X6Jの下位グレード(標準機クラス)であるDAC-X5Jを購入して、UFO-202からそちらに切り替えた。次の機会に述べたい。
真空管プリアンプの組立
まず始めにガラス製の真空管を、プリアンプ本体にあるソケットに2本セットしなければならない。
段ボールのパッケージを開くと、中央に大きくプリアンプ本体、そして左端に真空管が2本収まっている。大きさは、USBメモリーよりちょっと小さい程度。
よく手を洗って油分を落としてから、注意深く真空管を取り出す。
この真空管には6本の足が生えていて、アルファベットの「C」の字に並んでいる。
ソケットの形も同じように穴が空いているので、そこへ合わせるように差し込む。だが意外と固いので、ソケットやピンを痛めないように慎重にセットする。
うまく垂直に奥まで刺さったら、軽く揺すっても動かなくなる。
組み上がったら、次はオーディオケーブルでパソコンのイヤホン端子(3.5mmミニジャック)やサウンドカードのピンジャック(RCA端子)とプリアンプのINPUTを接続する。
ピンジャックが備わっているUFO-202の場合、普通の音声ケーブルが使えた。
そして別売りのACアダプターを電源とプリアンプに接続したら、まだ電源は入れないで、次の作業に移る。
PCスピーカーとの接続
前回の記事を書きながら気づいたが、PCスピーカーも一種のアンプ内蔵スピーカー(アクティブスピーカー) 2だ。
そこでパワーアンプを経由せずに、直接プリアンプの出力をPCスピーカーに繋ぐことにした。
幸いにもMS-130は、パソコンのライン出力やヘッドホン端子に接続する外部入力プラグ以外に、前面にライン入力端子を備えている。
そこでピンジャックからミニプラグへ変換するケーブルを使って、プリアンプの出力とライン入力を接続することにした。
もし、お使いのアクティブスピーカーに赤白のピンジャックがあれば、音声ケーブルを使って接続するといい。
USB一本だけで使えるPCスピーカーは使えないので要注意。
「オーディオスピーカー編」に進むか、別にスピーカーを買おう。
いずれはPCスピーカーではなく、オーディオ用の本格的なスピーカーで高音質な音楽を味わいたいと思う。
ちなみに、赤白のピンジャックを備えたオーディオ用のアクティブスピーカーには、こういうのがある。
真空管プリアンプの電源をいれる
すべての作業が終わったら、スピーカーとプリアンプのボリュームを最小まで絞る。
それからプリアンプの電源を入れる。
現代の半導体とは違い、動作の原理上あらかじめヒーターを暖めておかなければ、真空管は正常に動かない。
取扱説明書によれば30秒ほど電源を入れておけばいいが、実際に使ってみた感じだと1分、初めて電源を入れる時やしばらく使っていなかった時は、最低5分は電源を入れて暖めた方がいい。なお、再び電源を切って入れるときは、30分ほど間隔を開ける。
そして数分経ったら、プリアンプのボリュームを12時の位置まで持って行く。そしてパソコンから適当な音楽を流しながら、スピーカーの電源を入れて、少しずつスピーカー側のボリュームを上げていく。
音割れしない程度まで調整できればOK。これでパソコンの音を、真空管プリアンプ経由でPCスピーカーで聞くことができる。
ただし、プリアンプ側とスピーカー側のボリュームを調整しても音割れするようなら、電源の隣にあるゲイン値のトグルを下方向へ持って行く。
真空管プリアンプの音質
まず、ここから先は筆者が聴いた感想を述べる。そのため主観的な描写になることを、ご了承していただきたい。
さて電源を初めて入れた当初は、まだ真空管がよく動いていなかったのか、大した変化は感じられなかった。だが適当に音楽を変えながら聴いていると、音の響き方が違うような気がする。どこか新鮮に思えた。
そして、映画「シン・ゴジラ」のサントラより、予告などで使われた「Persecution of the masses (1172) / 上陸」 3を再生したところ、同じPCスピーカーとは思えない音の力強さと音場の広がりに驚いた。
とても繊細な音まで聞こえる。
他にも「勇者王ガオガイガー」や「けものフレンズ」など、様々な手持ちのサントラを再生してみたが、とにかくPCスピーカーの音質とは思えないほど、豊かな表現力が感じられた。
色々と曲を変えて聴いてみると、特に管弦楽など生の音が多い曲 4とマッチしやすいことがわかった。
プリアンプの役割の一つに、「ソース元の音量や音質を調節して、パワーアンプに伝える」というのがある。
もしかしたら、PCスピーカーに内蔵されたパワーアンプでは扱いきれなかった、とても小さくて繊細な音まで真空管プリアンプが受け取って増幅し、真空管独特の雰囲気も含んだ信号をパワーアンプが受け取り、音場の広がりや力強さ、音楽の表現力として、私が受け取ったのかもしれない。
まとめ
大して高くないスピーカーだった 5が、真空管プリアンプを挟むことで、予想以上に音質の向上が見られた。
だが、やはり小さくて安いスピーカーでは音の迫力に欠ける。
そこで次回の記事では、本格的にオーディオスピーカーを接続して、
より迫力のある堂々としたPCオーディオのサウンドを楽しみたいと思う。