PCオーディオに真空管のサウンドを入れよう
真空管プリアンプとは、真空管アンプの一種である。PCオーディオの場合、DACとパワーアンプの間にいれて使う。
特にノースフラットジャパン社の真空管プリアンプを使うと、真空管のサウンドが安く手軽に楽しめる。
以前「一万円未満で真空管アンプが買える!TUBE-01J/03J+の使い方」(2018年公開)では「TUBE-01J」を紹介したが、現在は「TUBE-00J UNLIMITED」を使っている。
これは真空管プリアンプ「TUBE-00J」をベースに、オペアンプやコンデンサなど細かい電子パーツまで高音質になるようチューニングされたカスタマイズモデルだ。
そこで「TUBE-00J UNLIMITED」を使って、標準で搭載されている選別グレード管だけでなく、様々な真空管によるサウンドを楽しむ「球転がし」に挑戦してみたい。
真空管の「球転がし」とは?
実は真空管にも様々な規格があり、中には6J1と6AK5のように名前は違うが同じ仕様になっている規格がある。
また昔は様々なメーカーが作っていたので、オーディオ愛好家の中には真空管を交換してサウンドの違いを楽しむ「球転がし」というやり方ができるのだ。
球転がしに使った真空管
6J1 ミルスペック選別グレード
こちらはTUBE-00J UNLIMITEDで使われている真空管だ。以前紹介したTUBE-01JのNFJ公式オプション品として推奨されている製品でもある。
まず最初に「燃えよ(藤井風)」を再生してみる。すると驚くことに、01Jに選別グレード管を組み合わせたときより、音の解像度が上がって迫力のあるサウンドになった。パーカッションのような細かいパートが、他のパートに埋もれずしっかり描写されている。
続いて「帰ろう(藤井風)」を再生してみると、01Jより低音がしっかり出ている。もちろんテストの際にはプリメインアンプのトーン調整を切っている。
高音寄りの印象があった選別グレード管だが、オペアンプ交換が効いているのだろうか?
6AK5 東芝 通測管
続いては01Jでも使っていた、東芝製6AK5の通測管に交換してみる。通測管とは、ラジオなどで使われた普通の真空管より高品質な真空管で、本来は通信機や計測器に使われていたらしい。
先ほどと同じく 「燃えよ(藤井風)」「帰ろう(藤井風)」を再生してみると、今度は中低音が強調されたが、01Jより表現は穏やか。
また増幅度が控えめなのか(真空管の経年劣化?)、やや大きめにボリュームを設定する必要があった。
6J1P-EBと6K4P ロシア球
続いては、旧ソ連圏で作られた真空管(通称:ロシア球)を試してみる。
まず初めに6J1P-EBを試してみたが、以前に買ったTUBE-03J+の付属6K4管と比べてクセが少ないフラットな音質だった。
そして次に6K4に交換したところ、6J1選別グレードよりドンシャリ傾向が薄れて、音の透明度が高くなった。
そして6J1P-EBよりクリアな響きなので、普段使いにもベストな球だ。またテスト中に運悪くTUBE-03J+の付属管が切れてしまったので、03J+の普段使いに良さそうだ。
試聴環境について
今回TUBE-00J UNLIMITEDの試聴に使ったPCオーディオ環境は、2019年に書いた記事からDACとプリメインアンプが変更になっている。またパソコンも自作PCに更新した。
詳しいことは改めて記事にするが、現在はパソコン本体の光デジタル出力をDAC-X3J PROへ接続。そしてDACで変換されたアナログ音声を、真空管プリアンプTUBE-00J UNLIMITED経由でプリメインアンプYD-202Jへ入力している。
そしてリスニングにはスピーカーだけでなく、ヘッドホン(AKG K240 STUDIO-Y3-E)を使用した。
また今回の試聴では、いま話題のサブスク音楽配信サービス「Amazon Music Unlimited」を使った。
まとめ
実はTUBE-01Jでも球転がしをやったことがある。しかし同じ真空管でも、TUBE-00J UNLIMITEDで使ってみると、アンプの仕様によって響きが違ってくるのは、なかなかおもしろい実験結果になった。
そして現在は、6K4ロシア球をTUBE-00J UNLIMITEDに接続している。
引き続き様々な曲で、球転がしをしながら違いを味わってみたい。
ところでテスト中に球が切れてしまったTUBE-03J+を改造して、TUBE-00J UNLIMITEDのように高音質を狙ってみるのも面白いかもしれない。調べてみると、オペアンプ交換なら手軽にできそうだ。
もちろんメーカー保証対象外の行為だが、数年前に購入して以来ほとんど使っておらず保証期間も切れている。真空管が無事なら、仮にアンプ本体が壊れても惜しくはない。
機会があれば是非ともトライしてみるつもりだ。